はじめに、株式会社中電工様について教えてください。
(岡本さま)弊社は中国電力株式会社のグループ企業で、電気・空調・給排水・情報通信などさまざまな快適設備を提供しています。中国地方を中心に東京、大阪、名古屋そして福岡等に拠点を置き、約3,500名の従業員にて組織しています。中国地域の電力の安定供給を支えるということで、配電線・送変電地中線工事も手掛け、来年には創立80周年を迎えます。「総合設備エンジニアリング企業」として、持続可能な社会の実現への貢献を目指しています。
屋外の現場が主戦場、境界型セキュリティでの運用に限界を感じた
情報システム部門(情報セキュリティ担当)の皆様のミッションを教えてください。
(岡本さま) 我々の担当は、情報システムの中でも主にセキュリティを担う部署です。時代の流れとともに様々なクラウドサービスや新しいサービスが出てきて、それらを効率よく使えるように試行錯誤し整備するのが我々のミッションです。その中で、今では多くの企業が着手しているゼロトラスト型のセキュリティに向けて、切り替える方針を決め、認証周りの基盤の検討をスタートさせました。
事業上の理想と現実でどのような課題がありましたか。
(岡本さま) 弊社は設備業・建設業ですので、建設現場が主な作業場所となり、工事の規模に合わせて仮設の現場事務所を構えます。特に大型工事の場合は、現場事務所も大規模なものになるため、そこで業務をする人たちも多くなります。ネットワーク環境やセキュリティ環境が万全でない社外においても、社内と同様に安全に効率よくクラウドサービスや社内システムを利用できる環境を用意することが重要な課題です。ユーザーが快適に使えるということは大切ですが、セキュリティをしっかり確保することは、絶対条件となります。
これまでは、社内ネットワークを経由してクラウドサービスに接続する境界型セキュリティを採用していました。しかし、多くの作業者が入れ替わり稼働する現場事務所においては、社内接続を経由することでネットワーク環境の負荷によるシステムのパフォーマンス低下など、境界型セキュリティが運用上のボトルネックとなっていました。特にboxなどのファイルにアクセスする際は、レスポンスが悪くユーザーからの改善要望が上がっていました。
情報セキュリティの強化とユーザーの利便性向上を実現するには、境界型セキュリティから脱却することが必要と考え「IDaaSサービス」を採用することに決定しました。これにより社内利用と社外インターネット利用の両方の「共通の入口」をインターネット上に設ける方向で検討に着手しました。